大判例

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東京高等裁判所 昭和53年(ネ)3250号 判決

控訴人が、昭和三三年一一月一七日被控訴人から旧店舗を賃借して果実店を開業したこと及び被控訴人が、昭和五〇年二月ころ旧店舗とこれに隣接し自ら書籍販売店に使用している被控訴人所有の建物を取りこわしてその跡地に建物を新築することを計画し、控訴人に対し、右建築が完成するまでの間、他に転居するならば、新築建物の一部を賃貸する旨提案したことは、当事者間に争いがなく、≪証拠≫によれば、被控訴人は、控訴人が、被控訴人の右提案に応じ、新築建物の一部を賃貸して貰うことを条件に旧店舗の明渡しを承諾したので、同年三月ころ、新築建物の一部を控訴人に賃貸することを前提として、敷地の貸主から新築についての承諾を得たうえ、同年四月ころ新築建物の設計図を控訴人に示し、賃貸すべき部分として新店舗部分を指定してその諒承を得、その後、賃貸の条件としての保証金及び賃料について交渉を重ね、その結果、同年五月二八日控訴人との間において、新店舗を保証金一〇〇万円、賃料一か月一〇万円の約で賃貸する旨の合意が成立し、控訴人に対し、引続き営業をすることを認める旨の同日付念書を差し入れ、また、控訴人も旧店舗の取こわし並びに新築工事を施行する被控訴人の弟有泉虎雄の経営する株式会社千代田産業に対し、旧店舗の解体について一切異議なく承諾する旨の同日付承諾書を差し入れ、更に、同年六月二二日被控訴人と控訴人との間において、右合意内容を確認するとともに賃貸借期間を五年とする趣旨の約定書が作成され、翌二三日控訴人が旧店舗を明け渡した(右明渡しの事実は当事者間に争いがない。)ことが認められる。<中略>

以上の争いのない事実及び認定事実によれば、控訴人と被控訴人との間に成立した前記合意は、当時まだ旧店舗の明渡しもなく、新築工事も開始されていなかったとはいえ、これをもって単なる賃貸借の予約であると解するのは相当でなく、右合意により、新店舗につき、本件建物の完成時を始期とする期間五年、保証金一〇〇万円、賃料一か月一〇万円の約の賃貸借契約が成立したものと解するのが相当である。

(田宮 新田 真栄田)

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